世界の保育(月刊コラム) 2026年4月号
韓国が幼児の詰め込み学習を規制へ/カナダの州が保育者の賃金を改定
4月は、韓国で幼い子どもへの反復型の学習指導を制限する方針が示され、「遊びと発達に合った学び」をどう守るかが話題になりました。カナダ・マニトバ州では保育者の新しい賃金表が始まり、シンガポールやアイルランドでも、保育の質を支える人材育成や1〜3歳児の受け皿づくりが進んでいます。
この号は、2026年9月28日に、2026年4月の各国の発表・報道をふり返ってまとめたバックナンバーです。内容はその時点の情報です。
アジア
韓国36か月未満は「認知学習」禁止、3歳以上も1日3時間まで——幼児向け塾・英語幼稚園を規制へ
韓国の教育部(日本の文部科学省にあたる)は4月1日、幼児への過度な私教育(塾など)を抑えるための計画を発表しました。対象は、いわゆる「英語幼稚園」など民間の学習塾で、言葉や算数を反復練習で教え込むような指導を「認知学習」と位置づけています。
計画では、生後36か月未満の子どもへの講師主導の認知学習を全面的に禁止し、3歳以上でも1日3時間・週15時間までに制限します。幼児を成績で順位づけしたり、入塾選抜のための筆記・口頭試験を行ったりすることも禁じる方針です。
韓国では「4歳・7歳の受験熱」と呼ばれるほど早期の学習競争が過熱していることが背景にあります。規制は私教育に関する法律の改正を前提に、早ければ2027年後半から施行される見通しです。
日本の保育士にとって「早くから文字や数を教えてほしい」という保護者の声は日本でも聞かれます。遊びの中で育つ力を、保護者にどう言葉で伝えるかを園内で話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
アジア
シンガポール保育の「教え方のリーダー」110人を任命、遊びを通した学びを独立した研修分野に
シンガポールの幼児期開発庁(ECDA)は4月22日、保育実践の中核を担う専門職「PASTEL(教育・学習のペダゴジスト・スペシャリスト)」110人を任命したと発表しました。PASTELは、保育者同士の学び合いの場「幼児期学習コミュニティ(ECLC)」の第3期で、各園の保育者と一緒に実践を深める役割を担います。
今期は「遊びを通した学び(Play-based Learning)」と「数の理解(Numeracy)」が、それぞれ独立した分野として新たに加わりました。あわせて、約2万8,000人いる保育人材を対象に、仕事の範囲や業務の進め方、支援の仕組みを見直す業種全体の「職務再設計」プロジェクトも進めているとしています。
日本の保育士にとって経験のある保育者が園をこえて学び合いの場をリードする仕組みは、日本の園内研修や地域の研修会づくりの参考になります。自園の業務のうち「見直せる仕事」を洗い出すことも、働きやすさにつながる一歩です。
ヨーロッパ
アイルランド1〜3歳児の保育の受け皿を増やす1,000万ユーロの施設拡張補助を開始
アイルランドのノーマ・フォーリー子ども・障害・平等大臣は4月、保育施設の増築やプレハブ(モジュール)棟の設置を支援する「ビルディング・ブロックス拡張補助(第2期)」を発表しました。総額は1,000万ユーロで、国の運営費補助(コア・ファンディング)に参加している事業者が対象です。
補助額は、非営利のコミュニティ系事業者で10万〜53万ユーロ、民間事業者で5万〜26万5,000ユーロ。1〜3歳児の終日保育の定員を実際に増やすことが条件で、年46週以上・週5日・1日8時間以上の開所や、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」指針への対応も求められます。
申請期限は2026年7月31日で、工事は2027年1月以降に始め、同年末までに終える計画です。
日本の保育士にとって低年齢児の保育ニーズが高いのは日本と同じです。受け皿を広げるときに、定員だけでなく「長時間・通年で開けられる体制」や「誰もが使いやすい環境」が条件になっている点は、保育の質と働き方の両面から考える材料になります。
北米
カナダ(マニトバ州)保育者の新しい賃金表が4月からスタート、保育者は約1,200人増加
カナダ連邦政府とマニトバ州は4月27日、認可保育施設で働く幼児教育士(ECE)や保育補助者、家庭的保育者の賃金を引き上げると発表しました。新しい賃金表は4月1日から適用されており、資格の段階や施設の規模によっては、2024年4月と比べて時給が最大7ドル上がる可能性があるとしています。
あわせて、賃金表のための補助を2%(1,430万ドル)、施設の基本運営費補助を1%(470万ドル)増やし、養成・研修プログラムにも2年間で1,440万ドルを追加します。州によると、賃金改善や養成の強化により、保育の現場で働くECEは約1,200人増えました。
日本の保育士にとって資格や経験に応じた「賃金表(ウェイジ・グリッド)」を公的に示すことで、人材が増えたという報告です。自分の処遇が経験やキャリアとどう結びついているかを確かめる視点は、日本の処遇改善やキャリアアップ研修を考えるうえでも役立ちます。
各国の政府・公的機関・国際機関・主要な報道の発表をもとに、保育士求人アースが日本語でまとめています。金額や制度はその時点のものです。