世界の保育(月刊コラム) 2025年12月号
豪州で保育の安全強化法が成立、韓国は4歳児の無償化へ
2025年12月は、オーストラリアで子どもの安全を最優先にする保育の法改正が成立し、韓国では2026年から4歳児の教育・保育費支援が始まることが伝えられました。アイルランドの保育者賃金向けの新たな財源や、カナダの保育料据え置き協定の延長など、保育の「質」と「働き手」を支える動きが各国で続いています。
この号は、2026年9月28日に、2025年12月の各国の発表・報道をふり返ってまとめたバックナンバーです。内容はその時点の情報です。
アジア
韓国2026年から4歳児も教育・保育費の支援対象に
韓国の経済紙アジア経済は12月31日、2026年から変わる制度をまとめた記事で、これまで5歳児に限られていた幼児教育・保育の無償化支援が4歳児にも広がると報じました。支援額は、公立幼稚園で2万ウォン、私立幼稚園で11万ウォン、オリニジップ(保育所)で7万ウォンとされ、保護者がこれまで負担してきた平均的な費用をまかなう水準だと説明されています。2027年には3〜5歳へ広げる方針です。
同じ記事では、家庭に派遣される子どもケアサービスの支援対象を、世帯所得が中位所得の200%以下から250%以下へ広げることや、乳児をケアする際の時間あたりの手当を1,500ウォンから2,000ウォンへ引き上げ、幼児ケアの手当(時間あたり1,000ウォン)を新設することも紹介されました。2026年4月からは、子どものケアを担う人の国家資格制度も始まるとされています。
日本の保育士にとって無償化で利用者が増えると、保育者一人ひとりの専門性がより問われます。韓国のようにケアの担い手に資格や手当を整える動きは、日本で自分たちの専門性をどう示すかを考えるきっかけになります。
オセアニア
オーストラリア子どもの安全を「最優先の考慮事項」に、保育の全国法改正が成立
オーストラリアの保育の全国機関ACECQA(オーストラリア子ども教育・保育質保証機関)は12月10日、保育の安全に関する全国法(National Law)と規則の改正が12月9日に国王裁可を受けたとして、施行日程を公表しました。2026年1月からは、法令違反に対する罰則の上限が3倍に引き上げられ、反則金通知の活用も広がります。
2026年2月27日からは、職員・ボランティア・事業者のすべてに「子どもの安全・権利・最善の利益を最優先に考える」ことを求める新たな原則が加わります。あわせて、園でのデジタル機器の使い方のルール(私物端末の制限を含む)、全職員とボランティアへの子ども保護・安全研修の義務化、全国の保育従事者を登録する「全国幼児期従事者登録制度(National Early Childhood Worker Register)」の開始などが予定されています。
日本の保育士にとって「子どもの最善の利益を最優先に」という原則を、日々の撮影ルールや研修の形で具体化している点が参考になります。自園のスマートフォンやタブレットの扱いを見直す材料にもなりそうです。
ヨーロッパ
アイルランド保育の行動計画を公表、保育者の賃金改善に使途を限った財源も
アイルランドのフォーリー子ども・障害・平等大臣は、幼児教育・保育と学童保育に関する2つの行動計画「未来をかたちづくる:幼児期行動計画(Shaping the Future: Early Years Action Plan)」と「簡素化と支援:簡素化のための行動計画」を公表しました。第1段階の取り組みは主に2026年に実施されます。
保育者の処遇では、2026年9月から最大1,500万ユーロ(通年では最大4,500万ユーロ)を、事業者が職員の賃金を改善するための使途限定の財源として用意し、採用と定着を支えるとしています。保護者向けには、全国保育制度(National Childcare Scheme)の所得基準を、下限2万6,000ユーロから3万4,000ユーロへ、上限6万ユーロから6万8,000ユーロへ引き上げます。保育者が学位レベルの資格を取るための学習支援基金も設けられます。
日本の保育士にとって賃金改善の財源を「職員の給与に使う」と限定して配る方法は、日本の処遇改善加算の仕組みとも比べやすい点です。自分の給与明細の加算部分がどう配分されているか、改めて確かめてみるのもよいでしょう。
ヨーロッパ
ドイツ連邦教育相、少子化で生まれる余力を保育の質に向ける考えを示す
ドイツのプリーン連邦教育・家族相は、12月15日に報じられたフランクフルター・アルゲマイネ紙のインタビューで、幼児教育の充実はドイツの将来を左右する問題だと述べました。出生数の減少で保育に余力が生まれる分を、保育の質の向上に振り向けるべきだという考えです。
重点としては、ことばの発達、運動の発達、社会性・情緒の発達を挙げ、特に支援の必要が大きい子どもから取り組むべきだとしました。一方で、年齢ごとに身につけた力を把握することは大切だが、キタ(保育施設)を学校にするという意味ではないとも説明しています。
日本の保育士にとって子どもが減る局面で、保育の「量」から「質」へ資源を移すという考え方は、定員割れが増える日本の園にも通じるテーマです。配置や研修にゆとりを生かす道を考えてみたくなります。
北米
カナダ低額保育の連邦・州協定、全州・準州で2027年3月まで延長
カナダ連邦政府は12月4日にオンタリオ州、12月12日にアルバータ州と、全国的な幼児教育・保育制度の協定を1年延長し、2027年3月31日までとすることで合意したと発表しました。これで全ての州・準州が、少なくとも2027年3月末まで協定を延長したことになります。
オンタリオ州では平均1日19ドルの保育料を2026年末まで維持することを目指し、アルバータ州では1日15ドルの保育料を維持するとしています。全国では約90万人の子どもの家庭が低額保育の恩恵を受けており、8つの州・準州で認可保育の平均保育料が1日10ドル以下になっていると説明されています。
日本の保育士にとって保育料を下げると利用が増え、保育の担い手の確保が次の課題になります。無償化・低額化が進む日本でも、利用の広がりと保育者の働き方をセットで考える視点が大切です。
各国の政府・公的機関・国際機関・主要な報道の発表をもとに、保育士求人アースが日本語でまとめています。金額や制度はその時点のものです。