保育所保育指針を現場の言葉で読む 第2回
「養護」とは何か――生命の保持と情緒の安定
指針は養護を、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりとしています。「快適に」「安定感をもって」という言葉から、毎日の関わりを見直します。
「保育における養護とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり」
保育所保育指針 第1章 総則 2(1)
「一人一人の子どもが、安定感をもって過ごせるようにする」
保育所保育指針 第1章 総則 2(2)イ(ア)①
「一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする」
保育所保育指針 第1章 総則 2(2)イ(ア)②
養護は「保育士等が行う援助や関わり」
指針は養護を、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりとしています。つまり養護は、衛生や安全の手順だけを指す言葉ではなく、大人の関わり方そのものを含んでいます。
同じおむつ替えでも、目を合わせて声をかけるのか、黙って手早く済ませるのかで、子どもが受け取るものは変わってきます。
「生命の保持」――快適に生活できるように
生命の保持のねらいの一つに、指針は「一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする」ことを挙げています。「安全である」ことに加えて「快適である」ことまで書かれている点に注目したいところです。
室温や明るさ、音の大きさ、座る場所。子どもが言葉で訴えにくい心地よさを整えることも、命を守る仕事の一部です。
「情緒の安定」――安心して気持ちを表せるように
情緒の安定のねらいには、安定感をもって過ごせること、自分の気持ちを安心して表すことができることが挙げられています。泣かない・怒らない子になることではなく、泣いても怒っても受け止めてもらえると感じられることが大切だと読めます。
気持ちを出せる安心感があるからこそ、子どもは新しいことにも向かっていけます。
「一人一人の」という言葉
ねらいの文には、くり返し「一人一人の子どもが」という言葉が出てきます。安心できる距離や、落ち着くきっかけは子どもによって違います。
クラス全体を見ながらも、「この子にとっての安心」は何かを考え続けることが、養護の中身をかたちづくっています。
現場では、たとえば
- 登園時に保護者から離れにくい子に、毎朝同じ場所・同じ声かけで迎え、少しずつ「ここは大丈夫」と感じられるようにする。
- 暑い日の外遊びの後、顔色や汗の様子を見ながら、水分補給と日陰での休憩を自然に取り入れる。
- 思いどおりにならず怒っている子に、すぐに止めさせるのではなく「悔しかったね」と気持ちを受け止めてから次を一緒に考える。
明日の保育で考えたいこと
- クラスの一人一人にとって「安心できる瞬間」はどんなときか、名前を思い浮かべながら挙げられるでしょうか。
- 子どもが気持ちを出したとき、自分はまず受け止めているでしょうか、それとも収めようとしているでしょうか。
引用は厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)の本文によります。解説は保育士求人アースによるものです。