保育所保育指針を現場の言葉で読む 第8回
保護者に対する子育て支援――「気持ちを受け止める」から始める
指針は保護者に対する子育て支援について、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重することを挙げています。送迎時の一言や連絡帳など、毎日の関わりの中の支援を考えます。
「保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること」
保育所保育指針 第4章 子育て支援 1(1)ア
「保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めること」
保育所保育指針 第4章 子育て支援 1(1)イ
「子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて」
保育所保育指針 第4章 子育て支援 2(1)ア
子育て支援は何のためか
指針の第4章は、保育所における保護者に対する子育て支援について、全ての子どもの健やかな育ちを実現することができるよう行うものとし、保護者及び地域が有する子育てを自ら実践する力の向上に資するよう留意するとしています。
保育士が代わりに子育てをするのではなく、保護者自身の子育てする力を支える、という方向性が読み取れます。
受け止める・信頼関係・自己決定
基本的事項として、指針は保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重することを挙げています。保育士の考えを伝えることがあっても、最後に決めるのは保護者だという姿勢です。
「こうしてください」の前に「そう感じていらしたんですね」と受け止める。その一言が、信頼関係の入り口になることがあります。
保育所の特性を生かす
指針は、保育及び子育てに関する知識や技術など保育士等の専門性や、子どもが常に存在する環境など保育所の特性を生かし、保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めることを求めています。
家庭では見られない姿や、小さな「できた」を伝えることは、保育所だからこそできる支援です。
日々の伝え合いが相互理解をつくる
指針は、日常の保育に関連した様々な機会を活用し、子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めることとしています。
園から伝えるだけでなく、家庭での様子を聞かせてもらうことも「収集」の一部です。「なぜこの活動をしているのか」を伝えることで、保護者が保育をより身近に感じられることもあります。
現場では、たとえば
- お迎えの際、「今日、初めて自分から友だちを遊びに誘っていましたよ」とその日の小さな成長を具体的に伝える。
- 食事の悩みを話してくれた保護者に、すぐに助言するのではなく、まず家庭での様子や気持ちを丁寧に聞く。
- 泥んこ遊びの翌日、連絡帳やおたよりで「感触を全身で味わう経験をねらいにしています」と活動の意図を伝える。
明日の保育で考えたいこと
- 保護者と話すとき、自分は「伝える」と「聞く」のどちらが多くなっているでしょうか。
- 保護者が「子育ての喜び」を感じられるような伝え方を、明日一つ試すとしたら何ができるでしょうか。
- 保護者の考えが自分と違うとき、「自己決定を尊重する」とは具体的にどうふるまうことでしょうか。
引用は厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)の本文によります。解説は保育士求人アースによるものです。