絵本の選び方と読み聞かせ

絵本の読み聞かせは、保育士の声とぬくもりを感じながら、ことばやお話の世界にふれられる大切な時間です。子どもの発達や興味に合った一冊を選ぶと、同じ絵本でも反応が大きく変わります。年齢ごとのポイントと季節の定番絵本を参考に、クラスの子どもたちに合う一冊を見つけてください。

0歳児の絵本の選び方

いないいないばあ松谷みよ子 文/瀬川康男 絵(童心社)動物が顔をかくして「ばあ」と出てくるくり返しが心地よく、保育士とのふれあい遊びのように楽しめます。次に出てくる顔を期待する気持ちも育ちます。
じゃあじゃあびりびりまついのりこ 作・絵(偕成社)身近なものとその音をあらわすことばが、はっきりした色と形で描かれています。短いことばなので、声の調子を変えて楽しくくり返せます。
がたん ごとん がたん ごとん安西水丸 文・絵(福音館書店)汽車の走る音のリズムとくり返しが、赤ちゃんの耳に心地よく届きます。身近な食器や食べ物が次々に出てくるので、指さしも楽しめます。
もこ もこもこ谷川俊太郎 作/元永定正 絵(文研出版)ふしぎな形と音のことばだけで進む絵本で、読み手の声の出し方しだいで反応が大きく変わります。意味より音の響きを楽しむ時期にぴったりです。
くだもの平山和子 作(福音館書店)本物のように描かれたくだものが並び、食べる場面のやりとりも楽しめます。離乳食が進む時期に、食べることへの興味を広げるきっかけになります。

1歳児の絵本の選び方

ぴょーんまつおかたつひで 作・絵(ポプラ社)いろいろな生きものが次々にとび上がる、縦に開く構成が特徴です。読んだあとに子どもたちと一緒に体でとぶ遊びにつなげやすい一冊です。
おつきさまこんばんは林明子 作(福音館書店)夜空のお月さまが主役の、静かでやさしい絵本です。表情の変化がわかりやすく、午睡前や落ち着きたい時間にも向いています。
きんぎょが にげた五味太郎 作(福音館書店)ページごとにかくれた金魚を探す楽しさがあり、指さしが盛んな時期にぴったりです。見つけた喜びを保育士と共有できます。
のせてのせて松谷みよ子 文/東光寺啓 絵(童心社)車に次々と仲間がのってくるくり返しが楽しく、のりものが好きな子の心をつかみます。トンネルの場面では暗さと明るさの変化も味わえます。
たまごのあかちゃんかんざわとしこ 文/やぎゅうげんいちろう 絵(福音館書店)たまごの中からだれが出てくるのかを期待しながらページをめくれます。呼びかけることばが多く、子どもも一緒に声を出して楽しめます。

2歳児の絵本の選び方

しろくまちゃんのほっとけーきわかやまけん 絵/森比左志・わだよしおみ 文(こぐま社)ホットケーキが焼けていく様子が、音のことばとともに段階的に描かれています。おままごとやクッキング活動への興味にもつながります。
おおきなかぶA・トルストイ 再話/内田莉莎子 訳/佐藤忠良 画(福音館書店)かけ声のくり返しと、登場人物が一人ずつ増えていく構成がわかりやすく、みんなで声を合わせて楽しめます。劇遊びにも発展させやすいお話です。
はらぺこあおむしエリック・カール 作/もりひさし 訳(偕成社)食べ物に穴があいたしかけと、曜日ごとに増えていく数が楽しめます。鮮やかな色彩で、集団での読み聞かせでも絵がよく見えます。
ねないこ だれだせなけいこ 作・絵(福音館書店)夜や眠ることを題材にした短いお話で、ちぎり絵の素朴な絵が印象に残ります。少しこわいけれど何度も聞きたくなる、ドキドキ感を味わえます。
どうぶつのおかあさん小森厚 文/薮内正幸 絵(福音館書店)動物の親子の運び方や過ごし方が、写実的な絵で描かれています。動物の名前や親子の関係に興味をもち始めた子にぴったりです。

3歳児の絵本の選び方

ぐりとぐらなかがわりえこ 作/おおむらゆりこ 絵(福音館書店)ふたごのねずみが森で大きなお菓子を作るお話で、リズムのよいことばと、みんなで分け合う場面が心に残ります。クッキングや友だちとの関わりにもつながります。
三びきのやぎのがらがらどんマーシャ・ブラウン 絵/せたていじ 訳(福音館書店)橋を渡るたびに緊張が高まっていく昔話で、くり返しの展開と迫力のある絵が子どもを引きこみます。読み手は声の大きさで緊張感を表現しやすい一冊です。
しょうぼうじどうしゃ じぷた渡辺茂男 作/山本忠敬 絵(福音館書店)小さな消防自動車が活やくするお話で、乗りものが好きな子の心をつかみます。小さくても役に立てるという主人公の姿に、自分を重ねて楽しめます。
わたしのワンピースにしまきかやこ えとぶん(こぐま社)ワンピースの模様が場面ごとに変わっていく、想像がふくらむ絵本です。やわらかな色づかいで、読んだあとに模様づくりの製作遊びにもつなげられます。
はじめてのおつかい筒井頼子 作/林明子 絵(福音館書店)ひとりでおつかいに行く女の子のドキドキが、細やかな絵で伝わります。「自分でやってみたい」気持ちが育つ時期の子どもが共感しやすいお話です。

4・5歳児の絵本の選び方

スイミーレオ・レオニ 作/谷川俊太郎 訳(好学社)小さな魚が仲間と力を合わせるお話で、協力することの大切さを感じられます。版画や水彩を生かした美しい海の絵も見どころです。
おしいれのぼうけんふるたたるひ・たばたせいいち 作(童心社)保育園を舞台にした長めのお話で、こわさを友だちと乗りこえる冒険にひきこまれます。園生活と重なるため、年長児が特に共感しやすい一冊です。
からすのパンやさんかこさとし 絵と文(偕成社)たくさんのパンが描かれた見開きをじっくり眺め、好きなパンを選び合う楽しさがあります。お店屋さんごっこへの発展にもぴったりです。
ともだちや内田麟太郎 作/降矢なな 絵(偕成社)友だちとは何かを、ユーモアのある展開の中で考えられるお話です。友だち関係が深まる時期に、気持ちについて話し合うきっかけになります。
エルマーのぼうけんルース・スタイルス・ガネット 作/ルース・クリスマン・ガネット 絵/渡辺茂男 訳(福音館書店)章ごとに区切って読める幼年童話で、翌日の続きを楽しみに待つ経験ができます。地図や道具を使って困難を切りぬける展開に、年長児が夢中になります。

季節に合わせて選ぶ絵本

春・入園4月・5月

はなをくんくんルース・クラウス 文/マーク・シーモント 絵/きじまはじめ 訳(福音館書店)冬眠から目覚めた動物たちが春のしるしを見つけるお話で、白黒の絵から最後に色が現れる場面が印象的です。季節の変わり目に読むと、春の訪れを感じられます。
あおくんときいろちゃんレオ・レオーニ 作/藤田圭雄 訳(至光社)色の丸だけで描かれた友だちのお話で、仲よくなる喜びが伝わります。新しい友だちと出会う時期に読むと、色水遊びなどにも発展させられます。

梅雨6月

あめふりさとうわきこ 作・絵(福音館書店)雨が降り続く日をテーマにした、ゆかいで豪快なお話です。外遊びができない雨の日に、室内で笑いながら楽しめます。
ぞうくんのあめふりさんぽなかのひろたか 作・絵(福音館書店)雨の中を仲間と散歩する様子が明るく描かれ、雨の日も楽しいものだと感じられます。水たまりや雨の音への興味を広げるきっかけになります。

夏7月・8月

すいかのたねさとうわきこ 作・絵(福音館書店)すいかの種から始まる、夏らしい楽しさがつまったお話です。夏野菜の栽培や、すいか割りなどの夏の行事と結びつけて読めます。
うみべのハリージーン・ジオン 文/マーガレット・ブロイ・グレアム 絵/わたなべしげお 訳(福音館書店)海辺で過ごす犬のハリーの一日が描かれ、夏の海の雰囲気を味わえます。水遊びの季節に、海に行ったことがない子も想像を広げられます。

秋・収穫9月・10月・11月・いまの季節

14ひきのあきまつりいわむらかずお 作(童心社)秋の森の実りや色づく木々が、細かく美しい絵で描かれています。散歩で見つけたどんぐりや落ち葉と見比べる楽しみもあります。
おおきな おおきな おいも市村久子 原案/赤羽末吉 作・絵(福音館書店)いも掘り遠足をきっかけに、子どもたちの想像がどんどんふくらんでいくお話です。いも掘り行事の前後に読むと、大きな紙に描く製作などにもつながります。
もりのかくれんぼう末吉暁子 作/林明子 絵(偕成社)紅葉した森の絵の中に、動物たちがかくれている探し絵の楽しさがあります。秋の色づかいを味わいながら、友だちと見つけ合えます。

冬・雪12月・1月・2月

てぶくろエウゲーニー・M・ラチョフ 絵/うちだりさこ 訳(福音館書店)雪の森に落ちた手袋に、動物たちが次々と入っていくウクライナの民話です。くり返しの展開と、少しずつ変わっていく手袋の絵が楽しめます。
ゆきのひエズラ・ジャック・キーツ 文・絵/きじまはじめ 訳(偕成社)雪が積もった朝に男の子が雪遊びをする様子が、貼り絵を生かした絵で描かれています。雪の日の前後に読むと、足あとや雪遊びへの期待がふくらみます。

年度末・進級3月

おおきくなるっていうことは中川ひろたか 文/村上康成 絵(童心社)大きくなるとはどういうことかを、身近な例でやさしく伝える絵本です。進級や卒園を前に、一年間の成長を子どもたちと喜び合えます。
ちいさいおうちバージニア・リー・バートン 文・絵/石井桃子 訳(岩波書店)一軒の家のまわりの季節や時代の移り変わりが、ていねいに描かれています。長めのお話なので4・5歳児向けで、一年をふり返る時期に時の流れを感じられます。

読み聞かせのコツ

  1. 読む前に一度は下読みをして、話の流れやページをめくるタイミング、声の強弱をつけたい場面を確かめておきます。
  2. 絵本は子どもから見て絵が正面になるよう、胸の高さで少し前に傾けて持ちます。背の側を片手でしっかり支え、手や腕で絵が隠れないように気をつけます。
  3. 集団で読むときは、窓を背にしないように座る位置を決めます。逆光になると絵が見えにくくなるため、子どもが光を背にする向きがおすすめです。全員から絵が見えるか、読む前に端の子に確かめます。
  4. 声は大げさに演じすぎず、はっきり、ややゆっくりと読みます。登場人物ごとに声色を大きく変えるより、間の取り方で場面の変化を伝えると、子どもが自分で想像を広げられます。
  5. ページは絵を隠さないよう、本の上の角か下の角を持ってめくります。次の場面を期待させたいところでは少し間をおいてからめくると、わくわく感が高まります。
  6. 途中で子どもが声を上げたり指さしたりしたときは、止めてしまわずに短く受け止め、お話の流れを保ちながら読み進めます。0〜1歳児はやりとりそのものを楽しんでかまいません。
  7. 読み終えたら、すぐに感想や教訓を聞き出そうとせず、表紙に戻って少し余韻を味わいます。子どもから出てきたつぶやきを拾う程度で十分です。
  8. しかけ絵本や穴のあいた絵本は、紙の端で指を切ったり、しかけをちぎって口に入れたりしないよう、0〜1歳児には保育士がそばで扱い方を見守ります。破れたページはすぐに補修し、はがれたテープや小さな破片が残らないようにします。

書名・作者・出版社は出版社などの情報で確認しています。版によって表記が異なる場合があります。絵本の本文は掲載していません。